こんにちは、ちあきです。
ブラジル・フランスの合作映画「バクラウ 地図から消された村」についてご紹介します。
評価は賛否わかれるようですが、私にとってはこれまで観たブラジル映画の中では、1位2位を争うおもしろさでした。
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「バクラウ 地図から消された村」作品基本情報
2019年にブラジル、フランスによって制作されたスリラー映画です。
原題は「BACURAU(バクラウ)」、バクラウという架空の村を舞台にしています。
カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞したほか、世界中の映画際で多くの映画賞を受賞した作品です。
予告編やポスターなどではUFOらしき存在を匂わせますが、蓋を開けてみると全くもって違う内容でした。
スリリングな展開で一気見必至
「今から数年後」という導入で物語は始まります。
では未来の話かと思いきや、バクラウはブラジルの砂漠地帯、およそ発展とは無縁の昔ながらの生活をしている村です。
生活に必要な水も止められていて、給水車が定期的に村に水を運んできます。
医療インフラも整っていないため、長老の葬儀に出席するため帰省したテレサが医薬品を村に持ち帰ります。
貧しいながらも協力し合い暮らしていた村の生活で、不吉な異変が始まります。
ある晩、農場の馬たちが一斉に逃げ出します。
そして翌日は携帯電話の電波が原因不明でつながらなくなります。
さらには農場の様子を確認しに行った村人2人が何者かによって殺されてしまいます。
退屈なくらい平和だった村で一体何が起こったのか。
スリリングな展開で一気に最後まで観てしまいました。
観おわった後の感想は「もう1回観たい」。
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バクラウ 村の秘密
この村、よくわからないことが多いです。観客の「いまの何??」と思う部分がスルーされてそのまま先へ進みがち。
村の危機に対応するため、ルンガというバクラウ出身のお尋ね者が隠れ家から村に呼び戻されます。
ルンガは村の広場で歓迎を受け、穴を掘ることを宣言します。
視聴者からしたら穴の説明を求めたいところですが、村人たちは無条件に穴掘りを始めます。
観客にはわからなくても、村の人は共有の秘密があるようです。私たちがそれら全てをうかがい知ることはできませんが、ひとつ明らかなのは、村の人は村を守るためなら手段を選ばないということです。
バクラウ 現代社会への皮肉
この映画自体が現代への風刺や皮肉に満ちています。細部で気になった点をご紹介すると「網膜スキャン」と「鎮痛剤」です。
映画冒頭に近隣市長が選挙活動に乗りつけます。水が供給されないのもこの市長が一枚かんでいるようで、彼が村人に嫌われているのは一目瞭然です。
その市長が網膜スキャンを手に、これでスキャンしたら選挙も直接行かなくて済む、ということをアピールします。これを村人は完全に無視します。
おそらくは網膜スキャンを口実に、村人を確実に管理する意図ではないかと思いますが、それに対して村人ははっきりと「NO」を示しているようでした。
また市長は、寄付という名目で村に期限切れの食料や医薬品などを運んできます。
期限切れというのも大変失礼な話ですが。
その中に、鎮痛薬が含まれていたのですが、村の医師は村人にその鎮痛薬の依存性成分について説明した上で処分します。
その場で反対する村人は一人もいません。
ブラジルの事情はくわしくわかりませんが、処方薬依存は日本でも問題となっています。
この場面にも、依存性成分の含まれた薬が安易に手に入ってしまう現代社会の問題点が指摘されているようでした。