リアル過ぎるパンデミック映画「コンテイジョン」レビュー

ソーシャルディスタンス

(この記事は2020年に書いたものです。)

コンテイジョンは2011年に公開されたアメリカ映画です。

contagionの元の意味は「(病気の)接触感染」「伝染病」ですが、関連して「悪影響」の意味もあるようです。

未知の感染症を取り上げた映画ですが、パニック映画ではありません。

むしろいま世界が直面しているパンデミックの状況と共通する点が多く、かなりのリアリティがあります。

映画はあくまでも映画ですが、見えざるウィルスとの闘いという点で現実世界と共通していて、映画を通して私たちのいる世界を冷静に見る視点が生まれました。

最初に観た時はレビューすることは考えなかったのですが、2カ月の間を空けて観た後では同じ映画にも関わらず全く印象が変わったため、印象の違いを含めてレビューしたいと思います。

なお、現実との比較を明らかにするために劇中エピソードもいくつか出てまいります。

「ネタバレは困る!」という方は映画をご視聴後に続きを読んでいただければと思います。

Amazonプライムビデオでコンテイジョンを見る

スポンサーリンク

2020年2月に観たとき

「コンテイジョン」予告編 ワーナーブラザース公式チャンネル

この頃はまだ、新型コロナウィルスの流行はアジアが中心で限定的でした。

日本国内の報道の中心は大型クルーズで、その頃はまだヨーロッパでもアメリカでもまして南米でも問題視されていませんでした。

最初に観た感想は「なんてゴージャスなキャストなんだ!!!」でした。

なんともお気楽かつミーハーな感想としか思えませんが、このときはまだWHOのパンデミックも宣言されておらず、一部を除いて世界はそれほど深刻な状況にはありませんでした。

一方の映画ではグゥイネス・パルトローにマット・デイモン、ケイト・ウィンスレットにジュード・ローなどなど主役級の大物俳優ばかりが次から次へと登場します。

マトリックスのモーフィアス(を演じた俳優さん)はCDC(アメリカ疾病予防管理センター)の職員として出てきます。

ちなみにケイト・ウィンスレットもCDCの職員です。

映画の中で、未知の感染症は香港が最初の流行地とされ、中国で感染が広まります。

防護服姿の救急隊員らが患者を運ぶシーンなどは、当時の報道の重なる部分があり非常にリアルで衝撃的でした。

しかしこのときはまだ、劇中で起きたようなことがたった数か月後の世界で現実化するなんて全く想像すらできませんでした。

たしかに現実と似ている部分もあったが、どう見ても映画のほうが悲惨な状況であり現実の状況はそれほどは悪くないと、そう思っていました。

2020年4月に観たとき

2020年4月に観たとき

ただただ驚くのみでした。

なぜなら細部にわたるまで、現実に起こっていること、起こりつつあることが随所に描かれていたからです。

あくまで個人の感想ですが一部を下記に挙げています。

前者が劇中エピソード、後者が連想された実際の出来事です。

ウィルスに効く特効薬のデマが横行←お湯を飲むと効果のデマ拡散

仮設病床の増設←スタジアム・催事場の利用、屋外病院の設置など

亡くなった方とのお別れ←平時のようにお見送りできない。ご遺族のお話で明らかに

布で口を覆う子どもたち←布マスクの普及

集団埋葬←ニューヨークの集団埋葬

特殊遺体袋が足りない。他国に発注しているが出し渋っている←ブラジル、中国から人工呼吸器の輸入調整に難航

列で3m開けるよう指示←ソーシャルディスタンスの推奨

映画の中のような暴動やお金儲けのために人の命を脅かす悪質インフルエンサーの出現はまだ目立っては起こっていないようですが、最近になって感染症に乗じた悪質商法のニュースは耳にするようになりました。

やはりこういう混乱しているときこそ冷静になるべきだと改めて思います。

例えばデマの特効薬を求めて行列するシーンでは、人が集まり互いの距離も空けずに密集しています。

「あれでは危ないな」と客観的に見て、実際の行動の変化につながることもあると思います。

世界各地では、感染リスクのある労働環境の改善を求めるストライキも起こり始めています。

じつはストの話題もほんのわずかですが登場します。

2回目の鑑賞は正直ドキッとすることの連続でした。

映画はあくまで映画です。しかしこのパンデミック映画を通して、世界を冷静に見る視点が生まれたように思います。

これから作品をご覧になる方はご自身で「これは・・・!?」と思うポイントもきっとたくさん見つかることと思います。

いろいろな意味で本当にすごい映画だと思いました。

記事をお読みいただいてありがとうございました。

Amazonプライムビデオでコンテイジョンを見る