「13の理由」は、アメリカの高校を舞台に、いじめやドラッグ、銃問題などの社会問題を扱ったドラマです。全体的に重い感は否めません。
しかし、ただ重い以上に中身が濃いドラマです。
観る人により受け取り方は様々だと思いますが、この記事では劇中のサバイバーに着目して感想をまとめました。
ネタバレはしていませんが、感想を述べるにあたり多少ストーリーに触れています。
まだドラマをご覧になっていない方は、その点をご了承の上で先にお進みください。
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立ち上がるサバイバーたち
シーズン3自体は殺されたブライスの犯人捜しを中心に進んでいきます。
ブライスはシーズン1・2では同情の余地なし、親の権力に守られ反省のかけらもないどうしようもない人物でしたが、シーズン3では生前の人間らしい一面が描かれます。
そこまで見せるなら、せめて更生の機会が与えられても良かったのでは、と思わざるを得ませんでした。
シーズン3で私が最も印象に残ったのは、「サバイバー(生き残った者)」というワードでした。
ドラマ中ではおもに性暴力被害に合った生徒たちが、サバイバーとして立ち上がります。
しかし、友人ハンナを失ったクレイ、ハンナの母親、息子を失ったブライスの母親などもまた、広義の意味でサバイバーといえます。
さらに生死をさまよったアレックスや、息子を失いかけたアレックスの父親もサバイバーといえるのではないでしょうか。
非日常的な魂の痛みを伴う出来事を体験しても、日常は止まってはくれません。
生き残った者たちは、何とかして出来事と日常の折り合いを付けながら人生の続きを生きていくしかありません。
過去を変えることはできず、変えられるのは今の自分とこれからの自分です。
そしてどんな心の痛みを伴ったとしても、その問題が表面上目に見えることはないのです。
つらい出来事を経験しても、仕事や学校など日常を生きていこうとするサバイバーたちの姿は、とても力強く私の目に映りました。
タイラーはいじめの被害者であり犯罪被害者です。
タイラーもサバイバーとして生き残る術を見つけたように見えました。
続くシーズン4の行方が気になります。
せめて観る人が希望の光を感じられる内容であってもらえたらと思います。
「13の理由」の原作は2007年に発表された同名の小説です。
視聴にあたって気をつけたいこと
シーズン1では、ドラマが進むにつれてハンナが自殺に至った理由が、ハンナが自ら吹き込んだカセットテープの存在により次第に明らかになります。
後にハンナの自殺シーンは削除されました。
原作を忠実に表現したい製作者の意図はわからなくはないですが、削除シーンがなくてもハンナが自殺したことの重大さはストーリーから十分伝わると思いました。
フィクションと頭では理解していても、人によっては観るのが精神的に負担かもしれません。
また、シーズン2にはいじめの壮絶な暴力シーンがありますが、削除にはなっていないようです。
かなり暴力的で残酷なシーンのため、つらい過去があったり暴力描写が苦手な方は視聴に注意が必要かもしれません。
続くシーズン4でファイナルです。こちらも併せてご覧ください。