Netflix(ネットフリックス)で配信中のブラジルドラマ「メカニズム」の感想を綴ります。
こちらはNetflix制作のオリジナルドラマですが、配信当時はその内容から当のブラジルでは物議をかもしました。
というのも、このドラマが実際の事件に着想を得たものだからです。
普通の犯罪ドラマとしてもおもしろいですが、実際のブラジルと結び付けて観るとまた別の点でおもしろくなります。
詳しくご紹介していきます。
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実在の人物にそっくりの登場人物
このドラマは実話に基づいたフィクションです
と、毎エピソードわざわざドラマの冒頭で明言されています。
そういうからにはフィクションすなわち創作なのだろう、と思って見ていると次々と実在の人物のソックリさんが登場してきます。
ドラマの元になった実際に起こった事件とは、当時のブラジル大統領失脚までつながった汚職事件です。
私自身そこまでブラジルの政治に詳しくありませんが、前大統領のボルソナロ、前々職のテメル、ジルマ、ルラ辺りの名前は知っています。
ルラ現大統領は労働者から大統領まで上りつめた人物で、ブラジルの貧しい層から絶大な人気があります。
ルラの政策で、それまでお金がなくて学校に行けなかった人たちで学校に通えるようになった貧しい人もたくさんいました。
そのような人たちにとって彼はまさしくヒーローです。
ジルマはルラの次に大統領になりました。
ブラジル初の女性大統領になったルラ寄りの人物で、わりとルラの思惑通りに動きます。
テメルはその次に大統領に就任しました。
テメルについてはよく知りませんが、2019年1月にボルソナロ政権になってから結局汚職で逮捕されてしまいました。
説明が長引きましたが、ドラマはジルマが弾劾裁判で大統領失職するまでの時代設定です。
で、自称フィクションのドラマに話を戻します。
主人公は汚職事件を捜査する連邦警察官たちですが、ルラ、ジルマ、テメルなどのソックリさんがチラチラ登場するため、見ているほうは「これでフィクションっていわれてもなー」みたいな気持ちになります。
2シーズンではさらにエスカレートし、イントロに実際のニュース映像にモザイクをかけて使用するなど、「これでフィクションっていわれてもなー」を通り越してもはや目が点になりました。
汚職事件の作戦名「洗車作戦」は実在の作戦ですが、ほかにも劇中の雑誌表紙が事件当時の雑誌と全く同じデザインになっているなど細部にも制作陣のこだわりが見られます。
恐るべしNetflix・・・
闘病しながらも事件を追い続ける個性的な主人公
ドラマでは主人公の男性ルッフォが、汚職事件発覚の糸口を探し当てます。
ルッフォは双極性障害の診断を受けています。
双極性障害といっても複数のタイプがあるため一概にはいえませんが、彼は躁状態とうつ状態を繰り返すタイプのようです。
日常生活に影響をきたすほどに事件にのめり込んでしまうのも、目的のため人並み以上の集中力で気の遠くなるような作業ができてしまうのも病気が関係していると思われます。
しかし逆にいうと、彼だからこそ成し得た、導き出せた結果ともいえます。
彼の仕事ぶりをリスペクトする人たちもいて、個性的かつ魅力的なキャラクターです。
不愛想でたいしてぱっとしない奥さんを不器用に思い続けるのも、それはそれでルッフォらしく見えてきます。
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スタイリッシュな映像とブラジルの魅力
メカニズムの舞台は最初クリチバという都市ですが、捜査範囲の拡大によりリオデジャネイロ、サンパウロ、ブラジリアなど場面ごとに移り変わります。
ブラジリアの国会議事堂は度々映りますが、広大な敷地で日本にはないような巨大建築物です。
国会議事堂は近代建築でありながら1987年文化遺産として世界遺産に登録されているようです。
また富裕層の豪邸と庶民の家、街の様子、警察署、刑務所内など、ドラマではあるあるの風景がスタイリッシュな映像で印象が格上げされ、全体的になんとなくおしゃれに見えてきます。
空撮もブラジル全土をまたがるロケも撮りたいがまま実現できるNetflixの資金力どんだけ?と思わずにはいられません。
思いつくまま好き勝手に述べてきましたが、事件のことブラジルのこと全然知らなくても、金融犯罪ドラマとしておもしろいです。
それぞれのキャラクターに人間味がありリアリティがあります。